暖かい季節はフェイント気味に踵を返す
とても寒い。
雪が溶けてアスファルトがむき出しになり、少しばかり次の季節を感じていたけど、気のせいだったのかも、って程寒い。
小走りしたくなる程だったというのに、また靴底のグリップを確かめながら滑らないよう冬の歩き方に戻した。
何度も何度も四期1セットの季節を繰り返してるのに変り目に体調を壊すような学習のないこともいっしょに繰り返して、いまも何やら身体がだるい。
更に僕は抗うつ薬を切らして一週間、一昨日くらいから減薬症状で不安定な感情は一層不安定になり、後頭部と手足に痺れがはしるような不快な感覚も現れはじめた。
2,3ヶ月に一度は起こしてしまうこの状態。
こんな時の僕はとにかく何もかもにイライラしている。イライラが顔を引っ込めるほんのひと時には激しい悲しみで涙が止まらなくなる。
いまの悲しみの理由はただひとつ。
どうしてあのこはこんなにも魅力的でいるのだろう。僕のたった一つの聖域のはずの僕自身の頭のなかでさえ彼女は自由奔放に振る舞って僕を憂鬱にさせる。
だけど、時々振り返ったときの笑顔や口にするユーモアと厳しいけど優しさを含んだ言葉は僕のくぐもった藍色の世界を塗り替えるような明るさを放っている。
僕は死にそうになりながら彼女の連絡を待っている。
彼女にとって僕が必要なのかどうか、凍えるような辛さでLINEをいれず、彼女からの連絡を待っている。
苦しくて胃液を戻しそうだ。なにも手につかなくなる。だけど、僕のこの気持ちが壊れる前に彼女が僕を必要とするかどうか、それだけを知りたい。